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身体醜形障害研究⑤-HSPの社会生活で陥り易い「困ったこと」の具体的対処法Ⓐ

前回では、HSPの人に必要な生活上の心構えについてみてきたが、今回は具体的な困った状況における対処法を見てみよう。

 

1.人の気分に左右されやすい

HSPの特徴として、敏感さ・共感性が高いために人のネガティブな影響を受け易いことがある。それは自己肯定感が持てない自我の弱さから来る自分と他人を区別する境界線が薄いこととも相まって、まわりの人の気分に影響されやすくなる。そばにいる人が落ち込んでいると、ともすれば自分まで落ち込んでしまうことになる。

対策としては、まず落ち込んでいる人には近づかない、常にネガティブな発想しか出来ないような人とは話をしないなど、他人のマイナス感情が入ってこないように感情をブロックするようにする。
もし他人のマイナス感情を受けてしまったら、一人になってから、架空のゴミ箱に向かってライオンが吠えるようにウエーと声を出しながら嫌な気分を吐き出すようにするが、マイナス感情が出て行く様をイメージするのがコツで、これは「ライオンの吐き出し」という心理技法のひとつでもある。

また他人との境界線を強くする、自分が厚いカプセルに包まれているというイメージトレーニング(カプセル化)をしておき、いざという時にカプセルを意識できれば、相手のマイナス感情をブロックできるとアーロン博士は言っている。

 

2.大人数の会合、飲み会で、気後れする―人見知りする

HSPの大半がそうである内向型HSPでは大勢の集まる会合や飲み会が大の苦手である。元々良く知らない人と話をするのが苦手な所に大人数に圧倒されて神経が高ぶり、頭が回らなくなり孤立し沈黙しがちになってしまうのである。

これは『人見知り』という心理状態と大いに関係する問題である。
アーロンによれば、人見知りと敏感さは別であり、人見知りは生まれ持った資質ではなく、ある状況に対する反応でしかないという。つまり人見知りは遺伝ではないのだ。

人は一度の失敗では『人見知り』にはならないものだが、二度目に同じ状況に出くわした時に、以前の失敗を思い出して神経が高ぶると、また同じ失敗をし易くなる。三度目はさらにどうしようも無く神経が高ぶるので失敗を繰り返すという訳で、このパターンが繰り返されると状況が違ってもそこに人がいるだけで神経が高ぶってしまい、思うような行動がとれなくなり『人見知り』が身についてしまうという。

人見知りは神経の高ぶりの反応であるが、恐怖が原因ではない。
人は神経の高ぶりは刺激過多のせいだとは思わず、「拒絶されることを怖がっているのだ」と解釈し、人見知りと決め付けるため、人見知りにはネガティブなニュワンスが含まれてしまうことになる。

スタンフォード大学の心理学的な実験によると、神経の高ぶりは騒音のせいだと教えられたグループの人は、神経の高ぶりは一緒にいる人のせいではないと思えるようになり、全く人見知りせずに実験を楽しむことが出来たという結果が出たという。つまり人見知りは気質ではないことが実験的に明らかになった。

自分を人見知りと思い、初対面あるいは大勢の前で神経が高ぶってしまったら、この実験を思い出し、心臓がどきどきするのはその場にいる人のせいではないのだ、全く別の気がかりのせいだと思うことで、その場の苦痛が軽くなるだろう。

寒くて不快な気分の時にどうするか、我慢する事も出来るし、厚着をする事も出来る、エアコンの設定を上げる事も出来るが、してはいけないことは、寒さに弱い自分を責めることである。
同じように、人見知りという不快感は神経の高ぶりが原因であるが、それを自分の弱さのせいとして責めるのが一番よくないのである。

神経の高ぶりから起きる『人見知り』という一時的な不快感は、我慢することも出来るし、その場から去ってしまうことも出来るし、ペルソナ(仮面。社会に適応するために身につけた自分)を使って対応することもできる。
いずれにしても社会的な場面で不快感を感じるのは「生まれつきで仕方のないこと」などと考えないで、意識的にこの不快感を取り除くようにすることが重要である。

その具体的な方法として、

1)「神経の高ぶり過ぎ」は、恐怖とは別物ということを思い出す。
神経の高ぶり」は一緒にいる人たちが原因ではなく、何か他の物事が原因であるという事実を認め、それも一時的な状態だと思うだけでかなり楽になるはずだ。

2)「気持ちを落ち着かせるいつもの方法-リアルタイムレジリエンス、ルーティン」を使う。
気持ちを落ち着かせるには、ちょっと思考を止め、深呼吸をして数秒待つのが良い。マインドフルネスが出来ればなお良いが、それでも収まらなければ、自分が安心できる環境に移動して、刺激を避けるのが良いだろう。
また、刺激を遮断する「お守り」を用意して自己暗示をかける、ラグビーの五郎丸選手のような決まった動作、ルーティンを行うことも安心感を与えてくれ有効である。

3)他のHSPを探し、一対一で話してみる。
社会生活の平均的な場面では、そこにいる人たちの約20パーセントはHSPであり、その他に2,30パーセントは自分が人見知りと思っているから、自分以外に不快感を味わっている人が少なからずいるはずであるから、見つけ出し、話をすれば案外容易に友達になれ、楽になるはずである。

4)「ペルソナ」を作り、意識的にそれを使うようにする
神経が高ぶって人見知りで不快感を感じていることは、自分が思うほど他人には分からないものであるから、所詮皆ペルソナ(仮面をかぶって)で生きているものだと思い、自分もペルソナでみんなと同じように行動していれば、他人にも気にされず、問題なく無事に過ぎていくものである。

5)自分がHSPである特徴を他人に説明する
長い時間を一緒に過ごすような場合は、「自分がHSPであるから、一人でいる時間が沢山必要である」と皆に説明しておくと、協調的でない行動をとろうと心理的負担が軽くなり楽になる。その際、HSPであることが、ネガティブな概念で同情心や憐れみを誘わないように注意することは必要である。

また、これらの方法は、身体醜形障害の人が社会的な不快感を感じたときに気持ちを落ち着かせる方法としても有効である。

 

3.急な予定変更にパニックになってしまう

HSPは予定外の出来事が苦手で、それが起きると繊細な神経が異常に高ぶり頭が上手く回転しなくなりパニック状態になったてしまう。そんなときは、タイムアウト法と言われる方法が有効である。6秒間、深呼吸をしたり、その場から離れたりして感情をおさえれば、パニックから脱出出来る。
そして日頃からパニック状態になる場合の状況と、そのときの自分の思考の仕方を記録して、思考の仕方のパターンを見つけておき、それが何か根底的な思考に染まり歪められていないかをチェックし、修正した思考の仕方を見つけておいて、なにかあれば、それにスイッチで出来るようにしておくことが大事とされるが、それはまさしくマインドフルネスレジリエンス療法(MBRT)そのものである。

従ってこれは、身体醜形障害の人が、突然人前に出ることになりパニック状態になった時の対処法としても良く適応されるものである。

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