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身体醜形障害研究④-HSPの生き方対策

今までに、HSPという敏感すぎる気質という概念について、そしてそれを持つ人たちを生きづらくしている病理についてみてきたが、今回は、その生きづらさにどのように対処していくべきかについてみてみよう。

HSPの概念を提唱したエイレン・アーロンの考えに同調し,日本におけるHSPの啓蒙家にして臨床医でもある長沼睦雄によれば、HSPの人は、正しい対処法を知り、それを身につければ、心身への負担はかなり軽減できると言い、それにはまず「自分がHSPであるという自覚を持ち、受け入れて生活する」ことが大事である言っている。

すなわち、自らHSPであることと、HSPの特徴を自覚してそれに対処していくのである。
僅かな刺激に反応して神経を高ぶらせ、神経を使い過ぎてしまうために、心身共に疲れやすいということ、自他の境界線が薄く自己抑制が強いために人の影響を受けやすく、ストレス耐性が低く心身ともに疲れやすいということから、自分は、うつやパニック障害、思春期失調症、身体醜形障害、自律神経失調などになりやすいと自覚していれば、それらを避けるための生活スタイルもとれるという訳である。
例えば、近所の騒音に悩むHSPは思い切って引っ越しをする、友人からの誘いを断ることが出来ずストレスをため込んでいるHSPは勇気を出して断ってみる、気にしすぎるのはHSPのせいかもしれない、など生活や考え方を変えることで生きづらさを軽減することが出来る。

すなわち、HSPという敏感すぎる気質は生得的なもので変えることは出来ないが、生きづらさは生育環境から培った価値観などの後天的なものに由来するものであるから、HSPの長所である敏感さや鋭い直感、豊かな感情世界とイマジネーション力はそのままに、生きづらさだけを消していくことが可能になるというのである。
HSPの長所は自分の利点として、「HSPで良かった」と思いつつ、欠点だけを克服するのである。
生きづらさを解消するための基本は「知る」「対応する」「心構えを作る」という3つで、基本的に心理療法一般に通じるものであり、私が提唱しているマインドフルネスレジリエンス療法MBRTにも良く対応しているものである。
「知る」とは自分が抱えるHSPという気質について詳しく知るということであり、自分は何に対して敏感なのか、それによってどんな問題を抱えているかを特定する。HSP一般ではなく自分という個人のHSPについて良く知り、その自分の敏感さに対する具体的な対応策を見つけ出し、それを「HSPであることを受け入れ、よりうまく生きるためのこころ構えや考え方を培う」ことで補強していけば、やがて自分を認め肯定できるようになれるというのである。

1)「知る」

<HSP自己チェックテスト>でHSPと診断されたら、自分の敏感さが主としてどこに向かっているのか知ることで、対応策も決まってくる。
自分が、どんな時にこころが動揺するか、どんな場所に行くと気分が悪くなるのか、何を食べると体調を崩すのか、を毎日記録しておくと、自分の敏感さの傾向が見えてくる。
自分のHSPの特徴を知るには、丁度MBRTにおいて、ABC分析をするように毎日何回となく気持ちの動きを記録するのが良い。Aは何が、いつ、どこで、どのようにあったかという事実だけを書き、結果としてどのような事態になったかをCとし、その時に頭をよぎった考えをBとして記録しておき、どのような状況でどのよう自動思考が働き、どのようになったかのパターンを集積することで、どのような場合にどのような思考の仕方をするか身についてしまっているかが見えてくる。(<美容整心メンタルこころの研究室>の中の「マインドフルネスレジリエンス療法MBRTについて」をご参照ください)

2)「対応する」

自分の敏感さゆえにピンチに陥るような刺激が何かを知ることで、そのような事態を避けることが出来るし、たとえ避けられずとも、そのような状態になった時に対処する方法を準備しておくことで受けるストレスを最小限にすることが出来る。MBRTでいうところのリアルタイムレジリエンスを用意するのである。「自分はHSP故に頑張りすぎてしまっているのだ、あるいは必要以上に自分を責めてしまっている」と考えるようにして自分を守るのである。
また、ストレスに強い身体的健康を維持することも重要となるという。これは私が、心身相関、自律統合性の自然観から、レジリエンスを強くするためには、MBRTと「レジリエント生活療法」が両輪であると言っているのと同じであり、睡眠、食事、生活スタイルを見直す。内容は「レジリエント生活・食糧法」と同類のものであるので、<美容整心メンタル研究室こころの研究室>の中にある「レジリエント生活・食事療法」を参照願いたい。

3)「心構えを作る」

心理療法の進展を妨げる原因の一つに心理的逆転という心理状態がある。それは「このままでいい」「治す必要なんてない」という、「治したい」と言っている言葉とは裏腹の心理状態であり、それはHSPが陥り易い愛着障害やPTSDから来る自己評価の低さや自己否定感に由来するとされる。「自分なんて」「自分にはそんな資格はない」というような意識は、変わろうとする気持ちに抵抗するので、「生きづらさは捨てていいのだ」という気持ちを意識し続け、無意識下にある心理的逆転を乗り越えることが重要になる。

4)「やめるべき考え方」

心理的逆転を防ぐように考えると同時に次のような考え方もやめるべきである。
自分のなかの良い子をやめる―HSPは愛着障害やPTSDから、愛情や信頼を求めて自分の本心本音をごまかして相手の望むように振る舞いがちである。要するに良い子になろうと相手の気持ちを忖度し過ぎてストレスを抱え込むのである。それが結果としてHSPの病理を招く要因になるので、良い子に成ろうとする考え方は改める必要がある。
自分を責める気持ちをやめる―HSPは自分が人より小さなことを気にして、おどおどしてしまうことから自分が弱虫であると考え悩み、自分に失望することが自己否定感に陥りがちである。
自己肯定感は、自我境界を強くし、自己主張が出来るようになるのと同時に他者も肯定できるようになるので円滑な社会生活が可能になり、生きづらさから解放される重要な要素になる。
その為には、自分がHSPであり自分が弱い気質であることを無条件で認めて自分を責めるのでは無く、あるがままの自己を肯定することが第一歩になる。

しかし自分がHSPであることをあまりに意識しすぎると、あらゆる刺激に過度に拒否的になりすぎてHSPの病理的な心身反応を来しやすいので、HSPと認めながらも自分のこころと身体の調子を客観的に見ることが大事になる。

 

HSPを意識しすぎることは、心身健康の四面体構造の一つの要素である「こころ」の振れ幅を過度に偏重させるととになり、心身の統合的なバランスをとる自律統合性機能の働きを不十分なものとし、心身の健康を損なってしまうことになるからである。

⇒『身体醜形障害研究⑤-HSPの社会生活で陥り易い「困ったこと」の具体的対処法Ⓐ』へ