MENU

_美容整心メンタル研究室

エリクソン③Ⅳ.学童期

2017年04月17日

 Ⅳ.学童期(7歳ヵら12歳)「勤勉性(/劣等感)」の基礎づくり―授業時間より休み時間に多くを学ぶ

小学生時代のテーマは勤勉性である。

勉強や遊びを通して、自分も自分なりにやって行けるという有能感が自信をつけ、将来大人になった時に勤勉に生きて行く心の基礎を作る時期に当たる。

子供は、周りの要求と自分の要求がバランスさえとれていれば、学ぶこと自体は新しい発見を伴うものであるから、基本的に喜びを伴うものであり、楽しいと感じ「自分は自分なりにやっていける力がある、学ぶことは面白い」という感覚、有能感が育ってくるものである。

また、同世代の仲間と道具や知識、体験を共有し一緒に遊び自然な交わりを体験することで、みんなとやっていける、ついていけるという自信が有能感になるのであり、これらの感覚は社会に適応していく基礎を作り、勤勉性を導くものとなる。

外的な要求が強く、有能感が育たなかったり、自然な交わりを体験できないと、劣等感が生まれてきて、将来の社会生活に支障を来すようになる。

学童期は、社会に対する自分の適格性を確認し、勤勉に生きて行く基を、この期間に身につける時期でもあり、有能感は社会的に生きて行くうえで欠かせない心の力であり、有能感が勤勉性に繋がり、劣等感が勤勉性を損なうのである。

エリクソンは、友達は質より量であるとし、たくさんのことを教え学ぶことに意味があると言う。

勤勉性は勉強よりも遊びの人間関係で育ち、休み時間に友達となかよく、生き生きと過ごせるかが重要であり、授業の落ちこぼれは社会人としての落ちこぼれに直結しないが、休み時間の落ちこぼれは社会人としての落ちこぼれに直結するという。

大人からではなく、友達に教えられ、教える経験が社会的に勤勉に生きる基になるとしている。

つまりよく遊んだ子は、将来よく働くのである。

この学童期に勤勉性を学ばないと、社会に出てから勤勉に働くことが困難になる。会社や社会が自分に期待していることを理解して、その為に習慣的に努力することが出来ないのである。なぜなら、人と交流できるという有能感が育っていないと職場で同僚、先輩、上司との自然な交わりが、つまりは社会の中でコミュニケーションが、人間関係の構築が出来ないからである。

友達と遊びながらコミュニケーションをした経験が希薄で勤勉性を獲得できなかった子に見られる適応障害の多くが、「会社が合わない」のではなく、「会社で健全な人間関係が出来ない」豊かな交わりが無い、学び合うことが出来ないので、仕事をすることが大きなストレスになり働けなくなるのである。

適応障害は、学童期の本当の意味での学び合う経験を積んでいないか、それ以前の自律性、基本的信頼性が得られていないためのつまずきが表出したものとして捉えることが出来る。

このような場合は、仕事の努力をするだけでなく、コミュニケ―ション、人間関係のやり直しが必要なのである。

つまり、小学生の過ごし方が大人になった時、社会的に勤勉に生きていけるかどうかの重要なポイントになり、その基礎づくりになるとしているのである。

小学校高学年から中学校前半頃(10歳から14歳頃)をエリクソンのいう思春期(13歳から22歳)から前思春期として区分する考えがある。

なぜなら、この時期には特有の精神病理があり、それが将来に大きな影響を与えるからである。

サリヴァンは、この年代の友達関係の人格発達に対する重要性を強調している。

前思春期になると、子供の心の中に愛の能力ないし親密さを求める気持ちが芽生え、同性の親友が出来、二人の間で、人生や世界におけるあらゆることに自分たちの感覚、思考、感情などの体験について相互に語り合い確かめ合うようになる。そして他者の視点を取り入れることで自己中心的な視野を超えて自他共通の人間性に目覚め、人間一般や共同体としての社会や世界に対する共感的態度が持てるようになる。

また自然と5,6人の友人が仲間・徒党を組んで行動するようになり、そこで絆や一体感、共感性を養うことになる。

前思春期が重要なのは、この時期が親友、仲間・徒党という友達関係を通じて共感性が増大する時期であり、それがその後の人格の統合的発達の基盤となることであり、同性、同世代の友達関係を十分経験していないと、思春期に入ってから様々な問題が生じるからである。

思春期とは、性機能の発現に伴って性欲を体験し、自己が性的な存在として意識されるともに、異性が異性として登場し、性欲という身体の次元の欲求と親密さという精神の次元の欲求を統合的に充足させることが、一つの課題になってくる時期であるから、自己中心的な思考を脱し、他者を認める共感性が大事になってくるからである。

前思春期は友達関係を通じて共感性、有能感が増大する時期であり、それがその後の人格の統合的発達の基盤となることが、とりわけ強調されるのである。

学童期のつまずきは社会的に勤勉に働くことが出来ないという形で現れる。会社や社会が自分に期待していることを理解し、その為に習慣的に努力することが出来ない。その理由は、職場で同僚や先輩、上司と、自信がないから自然な交わりが出来ないからである。会社が合わないのではなく、会社で健全な人間関係が築けないからなのである。豊かな交わりが無い、コミュニケーションが取れないから学び合うことが出来ず、自分の知っている事しか出来なく、孤立してしまうのである。

このような場合は、仕事の努力をするだけでなく、人間関係の作り直しが必要となる。

働き続けることのできない、適応障害の若者には、本人の意欲や、技能の問題だけではなく、学童期あるいはそれ以前のつまずきがあると認識して、コミュニケ―ション、人間関係のやり直しが必要なのである。