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美容整心メンタルこころの研究室

身体醜形症(障害)-3【身体醜形症の発症原因による分類】

子供の正常な心理発達は、おおむね以下の様な経過をたどると考えられている。まず生まれて2歳くらいまでは、母親が没頭するような無条件の愛情(母性的没頭愛)を受けて育つ。そこではなんでも可能な自分(誇大自己)がいて、それを満たす母親いる(イマーゴ、良い母親)。この過程で人は、自分や他人を信じることが出来るようになる(基本的信頼の獲得)。しかしやがて母親離れ(個体分離化)をする過程で、同じ母親のなかにも自分を拒絶する部分が出てくる(悪い母親)が、それも含めて同じ母親であると認識でできるようになるのが普通であるが(全体対象関係)、中には言うことを聞いてくれる良い母親と、聞いてくれない悪い母親が一人の同一人物であると統合できず(部分対象関係)に成長してしまう場合がある。それを分裂ポジションというが、そこで自分を大切にする力(自己愛)がバランスよく育たずパーソナリ障害の基盤を形成し、思春期につまずく要因にもなる。

身体醜形症はこのような子供の頃の心理発達にゆがみを持つことがベースにあると思われるが、発症の機転の特徴によって5つタイプに分けられると思う。

  • ①愛着障害タイプ

ネグレクトや虐待などの機能不全家族のもとで、母親から十分な愛情を与えられずに、いつまでも愛情と承認を求め、自己肯定感が持てず成長し、思春期前後にそれが外見容姿の欠陥として訴えるようになるタイプ。

  • ②思春期失調症候群タイプ

思春期失調症候群とは、前思春期までの、家庭や社会から庇護されてきた環境から、自分のアイデンディティを確立し自立して社会に出て行く過程において、その自立への過程がうまく行かず不適説行為や不登校、摂食障害、リストカットなどを行うことで、いわば青年期に向かう道に自ら障壁を作り成長を阻害するような症状を伴う一連のものをいう(筆者が名づけた病態の概念である)が、その一つの症状として身体醜形症を呈するものがある。これにはタイプ①の延長線上にあるものがほとんどであり類似点も多いが、発症時の症状の違いで分類している。このタイプのものは身体醜形症の診断がつき薬が処方されることで一種の疾病利得を得て治療をより困難にする傾向がある。

自我の発達とともに自他の容姿の優劣にコンプレックスを抱くようになり発症するものや、学業の成績よりも容姿の可愛いさの方が価値がある(人は見た目が10割)という、現代の時代風潮にも触発された思春期の価値観に挫折感を覚えて発症するものも含まれる。

  • ③PTSDタイプ

自我がある程度成長した児童・学童期に、容姿に関わることで恥ずかしい思いをさせられたり、虐められた経験があり、思春期に入るころになって、そのことがフラッシュバックのように思い出され、自分の容姿を憎み、このままではでは生きていけないと妄想的に思い込むようになり美容整形手術を切望するようになるタイプを言うが、実際には心的外傷を年長の思春期や青年期に受けることも少なくない。

④美容整形をきっかけに発症するタイプ

美容整形手術の結果に対する不満は、手術の稚拙さや、明らかな失敗によるものもあるが、一般的には成功の部類に入るものでも、本人の希望に100%叶っていない、わずかな左右差に拘り続けるなど、審美的感覚が鋭敏すぎることや本人の要求度が高すぎることが原因で結果に折り合えず、身体醜形症の症状をきたすものである。

  • ⑤他の精神疾患に合併・併存するタイプ

統合失調症、妄想性障害やうつ病、双極性障害、気分変調症などの気分症、パーソナイティ障害の症状として合併・併存することがある。

  • ⑥先天性あるいは病気・外傷による外表変形の治療後に発症するタイプ

口唇口蓋裂から重度症候性頭蓋縫合早期癒合症、顔面裂などまで、顔面の形態に様々な変形をきたす先天性の病気がある。形成外科学が進歩しタ現在では、口唇裂などはほとんど正常な形態に治せるものもあるが、ようやく眼、鼻の位置がそろったという程度にしか治せないという未だに治療限界を認めざるを得ないものもある。また事故や災害などによる外傷、がん治療による後遺症としての外表の欠損・変形など後天的に容姿や身体の外表に障害をきたし、治療後も患者の中には社会に適応できず不登校や引きこもりなど社会的機能障害をきたす例も少なくない。これらの患者を目の当たりにすると形成外科医は心底打ちのめされるのであるが、救いは一方で、立派に社会復帰し日常生活を積極的に送っている人達もいることである。その差は何かという疑問が精神美容形成外科学を思いつくきっかけとなった。