身体醜形症(障害)-2【身体醜形障害の心理とその背景】
一般的には、身体醜形障害発症には母子関係の影響が最も大きいとされている。エリクソンによれば、通常、乳幼児期に母親から没頭的な十分な愛情を得ることで、人は自分や人を信じることができる「基本的信頼」を獲得する。幼児期では個体分離化が図られ、「自律性」を身に着け、程よい距離の母子関係が出来る。児童期では「自主性、主体性」を獲得する。このような発達過程のライフサイクルの中で何らかの母子関係に問題が生じ、以下のような母親との間に生まれた特殊な心理的背景の存在が身体醜形障害の要因になると考えられている。
- ●過剰にコントロールする母親。母親は不安を抱きやすく強迫的に頑張るタイプが多い
- ●一緒に楽しんだり、笑ったり、何かを共有した体験や感情の交流が希薄な母子関係
- ●親が子育てに無関心で、親の関心を得るために身体症状を訴えるような母子関係
- ●優秀な母親に圧倒され、その劣等感から母親に認めてほしいという葛藤を持ってしまうような母子関係
- ●心配性で不安感情が強く抑うつ的な気質の母親や境界性パーソナリティのような不安定な感情の母親との間に強い緊張関係が生じていた母子関係
- ●可愛い自分というボディイメージを親から植え付けられて育ち、「可愛いことが一番大事」という価値感や根底思考が出来上がっている親子関係
- ●児童期に自分なりに可愛いという私的な自己ボディイメージを作り上げられた人(ほとんどの人はそのような私的自己ボディイメージを持つものだが)が、思春期になって公的な自己意識が発達すると、他人から見られる自分の姿かたちから生まれる客観的な自己ボディイメージを持つようになり、まずそのギャップに悩む。さらには、時代にもてはやされる自己の理想的ボディイメージが形成されて来ると、それとのギャップが大きなコンプレックスとなりのしかかり、それに近づきたい欲望にかられるようになる。これを機に大きく自分の外見容姿を好ましいものに変えたいと、美容に関心が向きはじめ、理想に近づこうとファッション、メイクやエステ、美容整形手術に関心を持つようになる。リアルな自己ボディイメージと理想形の自己ボディイメージのギャップのどこで折り合えるかが身体醜形障害発症のおおきな転機になるようであり、その差は個体の持つレジリエンス(ストレスに対する耐性、逆境力、心の免疫力)の強さによるものと私は考えている。