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美容整心メンタルこころの研究室

身体醜形障害(症)に対する私の精神心理療法の進歩:MBRTからMBRSTへ。

私は、身体醜形障害(症)は、生得的な(生まれつきの)原因ではなく、性格(遺伝的素因は除く)や生後の生育環境で身についたものの考え方(雑念、価値観、人生観のようなもの)の上に何かのキッカケがあって、つまり心因があって発症する神経症の一種と考えてよいと考えている。生後の生育環境や心因に原因があるとすれば、治せるはずである。
私は心身一如の考えから、精神の健康と身体の健康は一体のものであるとの考えのもとで、精神心理療法としてマインドフルネス・レジリエンス強化療法(MBRST)を、また強い免疫力と恒常性を持った健康な身体を獲得するためのレジリエント食事生活療法(RDLT)を考案し、それらを二本の柱として身体醜形障害(症)の治療を行っている。
MBRSTは、まずはABC分析を行い、従来の物事に対する考え方を明確にしていく。何かのきっかけ、出来事(A)で、「私は醜い」という感情が湧き起こりパニック状態になると情動の中枢である扁桃核に脳全体がハイジャックされた状態になり大脳新皮質の前頭前野が働かなくなり理性が調整された情動が扁桃核に伝わらなくなってしまう。この時自動思考的に「何らかの考え方(B)」が浮かんでいるはずである。少し時間が経つと結果として、何らかの感情がわき、何らかの行動を取る。その時の感情と取った行動を(C)とする。その時に(B)以外の考え方は無かったかを、「思考のワナ」を念頭に考えてみるといくつかの選択肢が上がるはずである。その中で最も自分が楽になる「新しい考え方(B‘)」を記憶しておき、次に「私は醜い」とパニックになりそうになった時に、新しい考え方(B’)で、ハイジャックされそうな状態をブロックするのである。この時ハイジャックしそうに激しく動き始めた感情を一瞬止めて、「新しい考え方」を思い起こさせるのにマインドフルネスの脱中心化のスキルを使うのである。脱中心化とは、フロイトのいう「平等に漂う注意」、いろんな感情が意識の中を通過するが、それらに注意はするが反応はしない「観察する自我」と同じことを意味する。
マインドフルネスを習得し、ABC分析を繰り返すことで「新しい考え方B’」を身につけていくのがMBRSTなのである。
身体醜形障害(症)の治療においては究極的には、今の自分を「あるがまま」を受け入れる森田正馬の「自然服従」の考えを持つこと、キーツの「ネガティブケイパビリティ」(答えの出ない状態に耐える力)とレジリエンス(坑病力、逆境力)を強化する以外にないのであるが、ABC分析を繰り返すことで、それらも身につくようにするもMBRSTなのである。