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身体醜形障害研究⑦-HSPと整心精神医学とレジリエンスとマインドフルネスの関係

HSPと整心精神医学と関係を見てみると、
HSPは、相手の感情を察知しやすいので、母親の自分に対するネガティブな感情を過剰に察知し愛着障害を来たしやすく、しいては「基底欠損」、「自己の障害」から思春期失調に至り易く、思春期失調症候群、パーソナリティ障害、身体醜形障害、気分変調症状態などになり易い傾向がある。
また、感覚過敏、ストレス耐性の低さは前帯状皮質の活動性の低下、自律神経の易刺激性となり、自律神経失調症を招きやすい。
HSPのストレス耐性の低さから、慢性的なストレス下に置いては脳内アドレナリンの低下とセロトニンの低下を招き慢性うつを罹患しやすい身体環境となっている。

つまりHSPは私の言う整心精神医学の対象領域に大いに関わっているのである。
実際に外来で、HSPテストをしてみると、整心精神医学の対象患者は殆どがHSPであることが分かった。

HSPはストレス耐性が低いのが特徴だが、それはすなわちストレスからの復元力・レジリエンスが弱いことでもあり、HSPへの基本的な対処法としてはレジリエンスを強める方法であるマインドフルネスレジリエンス療法(MBRT)が適応されることは前回までにみてきた。

HSPは元々ストレスによって脳が疲弊、疲労しやす状態にあるのである。
したがってHSPの人、レジリエンスが弱い人には、脳をいかに休息させるかが最も実際的な課題になる。

ここでHSPの疲労とは何か、マインドフルネスとの関係を脳科学的にみてみようと思う。
HSPは神経が常に高ぶっていて、非常に敏感な気質の人をいうので、脳科学的には、おそらくデフォルト・モード・ネットワークDMNが普通の人より過活動状態ではないかと思われる。
DMNは脳の内測前頭前野、後帯状皮質、楔前部、下頭頂小葉などから構成される脳内ネットワークで、脳が意識的な活動をしていない時に働くベースライン活動のことを言い、ちょうど自動車のアイドリング状態に例えられる。これが脳の消費エネルギーの60‐80パーセントを占めるとされ、脳疲労にDMHは大きく関わっているのだが、DNMが活動的であればあるほど、(過去を悔いる、将来を不安心配に思う)雑念が自動的に湧いてきて、それがさらに大きくエネルギーを消費し、HSPが疲労しやすい原因にもなっている。

2011年、イェール大学の精神神経科医ジャドソン・ブリューアーは長期間の研究によって、マインドフルネス(瞑想)はDMNの主要部位、後帯状皮質の活動を抑制することを発見した。
マインドフルネスを行うとDMNの活動性は下がり(アイドリング閾値は下がり)、雑念が消え、脳の消費エネルギーが減少し疲労感は軽減し、自己意識も後退しリラックスして集中力が高まることが分かってきた。(人によりフロー状態、アスリートのゾーンの状態にもなりうる)
つまりマインドフルネスは脳の重要な休息法になることが科学的に明らかにされたのである。

そればかりでなくマインドフルネスを習慣化し習熟すると脳の構造も変化することが分かってきた。
最近の研究では大脳皮質の体積が増えた、海馬、後帯状皮質、の密度が増加したとの報告がある。またDMNの後帯状皮質と背側前帯状皮質、背外側前頭前野の連結が増したという研究報告もある。つまりマインドフルネスは脳の可塑性に働きかけて、DMNをコントロールし疲れない脳構造を作ることになる。
マインドフルネスは脳の働き具合ばかりでなく、構造自体を変えることになると、脳の疲れを対症療法的に取るだけでなく、疲れに対する予防的な効果も期待できる。自分の脳を自分で鍛へ、ストレス耐性の高いレジリエントな脳へと成長させることができるというニューロフィードバックの概念が成立する時代が見えてきたのである。

マインドフルネスではその他に「集中力の向上」「感情調節力の向上」「自己認識の変化―自己コントロール力の向上」「免疫機能の改善」が期待できるという。これらはすべてレジリエンスの働きに直結するものであり、マインドフルネスがレジリエンスを強める効果があることを示している。

体の疲労は実は脳の疲労感であり、それに対しては、マインドフルネスの他に①運動やヨガ②認知行動療法・カウンセリング④食事療法などが有効と言われている。

また、脳が回復するのに有効な5つの習慣が提唱されているので述べておこう。

①オン/オフの切り替えの儀式を持つ(特定の音楽を聞く、シャワーを浴びたりして仕事モードと
 休息モードを区別する、脳は二つ事を同時には集中出来ない)

②自然に触れる(人間の存在を圧倒する、スケールをこえたものに触れることで日常の仕事モード
 から解放される)

③美に触れる(美しいと言う感覚は脳の報酬系に作用する)

④没頭できるものを持つ(好きなことに集中すると、報酬系が刺激される]

⑤故郷を訪ねる(生まれ育った環境には安心感がある)


などである。

脳の疲労を解消させるマインドフルネス瞑想法にはシチュエーションによって、呼吸法、ムーブメント法、ブリージング・スペース法などの瞑想法があるが、それらは今後、マインドフルネスの研究を深めていく中で詳しくみていく予定である。

ところでマインドフルネスの定義は、過不足なく言い当てたものはないのであるが、
googleでは「評価や判断を加えずに、今ここの経験に対して能動的に注意を向けること」とし、
大谷彰は「『今ここ』での体験に気づき、それをありのまま受け入れる態度と方法」であるとし、
日本マインドフルネス学会では『今、この瞬間の体験の意図的に意識を向け、評価せずに、とらわれない状態で、ただ観ること』とし、
藤井英雄は「今、ここの現実にリアルタイムかつ客観的に気付いていること」「あるがままの現実をあるがままに感じること」としている。
が、結局は「マインドフルネスは脳とこころを休ませるための休息法であり、その技術群のこと」というのが実態を包括的に良く説明していると思う。