クリニークデュボワの美容整心メンタル科は身体醜形障害、美容整形セカンドオピニオンなど外見・美容の悩みや生きる悩みなどにお応えする心療内科です。

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マインドフルネスレジリエンス療法Mindfulness Based Resilience Therapy(MBRT)

マかつての精神分析療法は、患者に、「精神分析は長い時間と費用をかけたが、傷ついた心の状態を説明するばかりで何もしてくれなかった。転んでいる自分を起こしてさえくれなかった」と言わしめている。
認知療法では患者の不正確な認知、信念体系や思考に取り組み、患者が出来るだけ早く普通の状態に戻れるようなスキルを身に着けることに重点を置いて、傷ついて動けなくなっている病人を起こし、歩けるようにするスキルまでは教えているがそこまでである。
レジリエンス心理学は、その先の段階の、目標を決めて果敢に挑戦する気力を導くスキルを教えている。
またマインドフルネス(瞑想)はレジリエンス機能を高めることが最新の脳科学で証明されていることから、私は、これらの考え方を基礎においてレジリエンス心理学とマインドフルネスの概念を組み立てて『マインドフルネスレジリエンス療法MBRT』として考案し、従来の認知行動療法に変えて行っている。

マインドフルネスレジリエンス療法とは、認知(行動)療法が認知の転換をする(考え方、解釈の仕方、思考のスタイルを変える)ことで思考をマイナスからゼロになるように目盛を動かすように介入する心理療法をいうのに対し、レジリエンスとマインドフルネスの概念を組み立てて、思考の目盛をゼロからプラスに動かし、未来への働きかけを目指す心理療法をいう。

私たちは日常的に潜在意識下に過去を悔やみ憂う気持ちと、将来を心配し不安に思う考えを持ちながら生きている。つまり私たちは常に、自分と、自分の思考と現実(周囲の出来事)が混在する状況に置かれており、現実は、それらの自分の思考を通してしか見たり理解することが出来ない(認知的コンフュージョンという)。従って私たちは逆境、ストレスに直面すると、その現実を『今ここ』のリアルな事実として、あるがままに見る事が出来ないのであり、常に過去と未来のネガティブ思考を通してしか現実を見ることが出来ず、自動思考的にネガティブな思考に陥ってしまうのである。つまり現実のリアルな事実と「自分の頭の中で考えている現実」とは別物であり、リアルな現実の事実を見るには、自分を取り囲む思考を取り払うか、あるいはそれらの思考に取り囲まれた自分をその場から脱出させ、少し離れた所から観客の目で現実を見ないと(脱中心化と言う)、本当の事実は分からないことになる。
その『今、ここ』の本当の現実に気付くために、マインドフルネスを習得して「ハット気付く」スキルを身に着けることが必要になる。

同時にレジリエンス心理学のABC分析で、思い込みやワナで歪められたネガティブな自動思考を正し、自分を前向きにするポジティブな考え方(リアルタイムレジリエンス)を体得するスキルを身に着ける必要がある。マインドフルネスでハッと「今ここ」の経験に気づき、ネガティブ思考にある自分に気付いても、そのままでは、すぐにまた自動操縦的にマインドレスなネガティブな思考に戻ってしまうので、その際にABC分析で獲得したポジティブな思考(リアルタイムレジリエンス)に瞬時に移行できるようにしておくことで、結果としてネガティブな感情、行動のスパイラルから脱却し、前向き向上的な思考、気分、行動に導くのがマインドフルネスレジリエンス療法なのである。

レジリエンスとは

レジリエンスとは、困難、や試練、逆境などのストレスに対抗する力、また自らの精神を元に戻そうとする力のことを言う。ストレスによって打ち込まれにくくする耐久力であり、また例え打ち込まれても、跳ね返し回復し、再起する力のことであるが、人には生得的にそのような力あるとし、そのようなこころの働きの概念をレジリエンスと言う。
研究によれば、レジリエンスは子供時代の内的な要因と外的な要因の複雑な相互作用によって決まるとされるが、早期の外的要因は覆せないが、性格などの内的要因は思考スタイルのように修正することが出来るとされている。
それは一度思考スタイルが変われば、幼少時の出来事によってつくられたネガティブな影響を無効にできるということを意味する。
レジリエンスは幼少期の逆境に「打ち勝ち」、日常の様々なストレスを「乗り切り」、人生を変えるような大きな出来事や躓きから「立ち直る」、ことを可能にする。さらに、人生に新たな意味や目的を見出し、それに向かい道を開こうと対象に「働きかける」力も持っている。
レジリエンスの本質的な能力は1)感情調整力2)衝動調整力3)共感力4)楽観力5)原因分析力⑥6)自己効力感(有能感)7)リーチアウト力(働きかける力)であり、
その能力を引き出すレジリエンス心理学の土台となる基本的な哲学は、①人生は変えられる②思考がレジリエンスを引き上げる③正確な思考がカギになる④人間の強みに再び意識を向ける⑤治療の先を見据えてポジティブに働きかけること、から成っている。

マインドフルネスとは

ヨーガやテーラワーダ仏教、禅の行法を起源とするマインドフルネス瞑想のことで、
禅瞑想が簡略化され、<気づき(awareness)><[今ここ」の体験(即時性)>
<あるがままの受け入れ(受容)>を3本の柱とする瞑想モデルが、脳科学の発達とともに脱宗教化されアメリカで「臨床マインドフルネス」となった。
マインドフルネスとは、マインドフルな状態(色んな思考が入り乱れ考えごとをしている状態をいう)から「ハッと我に返った状態」、「目が覚めた状態」のことを言う。

マインドフルネスをマインドフルネスストレス低減法MBSRとして初めて精神医療に導入したカバット・ジン博士はマインドフルネスを『「今ここ」での経験に評価や判断を加えることなく、意図的に注意を向けることによって現れる気づき」』と定義している。
マインドフルネスは衝動性制御、感情調整、集中力を高めこころの平静化をもたらしレジリエンスを高める。

精神心理療法で用いる臨床マインドフルネスでは、「思考」と「現実」と「自分」の混同から脱却して、観察者としての自己を獲得して、「考えている自分」と「考えていること」を区別し、自分自身の心を常に整理された状態に保ちつつ、色んなもの、ことを評価せずありのままの状態で感じ取ることが出来るようになることを目標とする。つまり感情や認知を情報交換する際の心のモードを「することモードdoing mode」から「あることモードbeing mode]への転換を図るのである。
マインドフルネス瞑想は「注意の持続・転換・分割」の3つで構成されており、呼吸に集中することで注意の持続力を身に着け、雑念が湧いてきても呼吸に注意を戻すこと(転換)ができるまでの集中瞑想(サマタ瞑想)を行い、その後は、「気を配る」、「注意を分割し、色んなものを同時に感じ取ることができる」ようになるヴィパッサナー瞑想を習得していく。

マインドフルネスの実践は、アーナーパーナサティ・スートラ(出息入息に関する気づきの経)の16つの考察に基づいて瞑想の段階を踏んでいくが、マインドフルネスレジリエンス療法では、ピュア(仏教)マインドフルネスを追求するものではないから、身体に関する1~4までの習得に集中し、猿心(モンキーマインド)からの解放、犬的心理から獅子心を育てていきます。

マインドフルネス・レジリエンス療法MBRTの実際

7つのステップから成り立っているが、大きくは「自己発見スキル」と「自己変革スキル」の獲得のステップに分けられる。

<自己発見スキル>

①ABC分析をするスキル、②思考のワナを避けるスキル,③氷山思考を見つけるスキル
まず自分がストレス、試練、逆境に会った時に、どのような思考の仕方をしてどのような感情・行動の結果をもたらしているか、また、その思考の原因となる文脈をどのように説明しているか、などの自分の思考のパターンを知る「自己発見のスキル」を学ぶ。
次に自分の思考パターンの中で思考のワナや根底思考などによる思い込みでレジリエンスを弱めているところを発見し、レジリエンスが強化できるような思考の仕方に変革する方法を学ぶ。

<自己変革スキル>

④思い込みに挑むスキル⑤大局的にとらえるスキル
正しい適切な思考の仕方を見つけ、ネガティブ思考をポジティブ思考に変えていく。そして見つけた適切な思考のスタイルを実践することで、人生に目標を持って、それに果敢に挑戦していくような人生観の獲得を目指す。

⑥心を静めてフォーカシングするスキル、マインドフルネス
マインドフルネスレジリエンス療法の最後のステージである「働きかける」能力を喚起させる意欲を高めるのがMBRTの究極の目標になるが、過度のストレスで自分を見失いそうな時に平静さを取り戻す緊急の手段になるのがマインドフルネスである。
MBRTで用いるマインドフルネスは、衝動性制御、感情調整力、意識集中力を高め、レジリエンスを強化する目的で呼吸マインドフルネス瞑想を行う。
呼吸に意識を集中・持続させることで「思考と現実と自己の混同」から抜け出し、自分の経験に対して観客の視点を持つことで思考の思い込みからの脱却をはかる。思考や感情を事実の反映したものではなく、心の中に生じた一つの出来事に過ぎないということに気付き、そのような視点を常に持てるようにする。

*例えば、「自分はダメな人間だ」と強く思い込み、常にネガティブ感情を喚起し、過去の失敗ばかりを思い出してはひどく抑うつ状態に沈んでいる人がいるとする。
彼が逆境に対して、『あ、やはりまた「自分はダメな人間だ」という考えが頭をもたげ、過去のネガティブな記憶も色いろ出てきているな』と一歩引いて客観的に眺められるようになると『こういう時に自分がネガティブになってしまうのも仕方ないな』と自分の状況に平静に構えられるようになる、というわけである。

「先のこと・過去のこと・何処かのこと」にこころを奪われた状態が当たり前になると、憂いと不安で脳の活動は常時活発になり疲労困憊し( デフォルトモードの活動レベルが上がる)、人間は「今・ここ」に意識を向けることが難しくなる。しっかりと脳を休息させることと、意識の『今・ここ』にいる状態を体得することは共時的な関係にあり、マインドフルネス呼吸法はその状態を会得するために行う。

⑥リアルタイム・レジリエンス

心を静めてフォーカシングするスキル(呼吸マインドフルネス)はストレッサ―に会い自分のコントロールを失いかけた時に、即時的にコントロールを回復するスキルであるが、ストレスの原因になったり、感情の洪水を引き起こすような思考に挑むものではない。
非生産的な思考が現れた瞬間にその思い込みに挑み抑え込む思考を生む力をリアルタイムレジリエンスという。リアルタイムレジリエンスでは、最もありそうな結果を一つと、それに対処するために出来る行動を一つ見つけ出すことである。

マインドフルネスで自分を外から見ることが出来るようになると(脱中心化)、自分に対する気づきが生じ、逆境に際し自分に平静さを取り戻すことが出来るので、自動思考的な非生産的なネガティブ思考を一時的に追い払うことが出来るが、そのままではすぐに自動思考に戻ってしまう。しかし、その間にリアルタイムレジリエンスで得られた正確でポジティブな未来に働きかける思考を持っていれば、それを防ぐことが出来る。

注)「レジリエンス心理学」の詳細は、美容整心メンタルAIF研究室の中の「レジリエンンス心理学①~⑬」に記載されています