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心脳問題と量子論-その2

還元論的唯物論を支える理論の一つに量子論がある。
量子力学が成立した極初期の頃から、一部の物理学者達は量子力学と意識は関連しているかもしれないと感じていた。
Penroseは心を解明するには、量子力学か、あるいは「量子力学と古典力学の橋渡しをした、そして計算能力を超越した新しい物理理論」によって初めて表現できる、非決定論的な効果を利用しなければならないと考えている。Penroseはニューロンを含むすべての細胞で、細胞骨格の微小管マイクロチューブリンが意識に不可欠な量子効果を生み出している可能性があると主張している。
これに対しては、ホーキンスをはじめ量子物理学の先鋭たちの反論があり、両者間に激しい討論があるが、これらに関しては竹内薫と茂木健一郎が訳と解説をした「ペンローズの量子脳理論」(徳間書店、1977年)が詳しく、面白い。

心に関して量子論的な考察をした人には、神経生理学の立場からは先に述べたEccles、哲学的立場からはRockwood がいる。(「心身問題と量子力学」、産業図書2003年)

また、量子論はその哲学的観念から唯我論的一元論を導いたが([量子論から解き明かす心の世界とあの世」PHP研究所2014年]、これはBurgeの分類では観念論に入ると思われる。量子論の哲学的意味を考えるに面白いので紹介する。
まず、量子論は以下の事実を明らかにした。
 ?光は波動性と粒子性を持っている。
 ?電子も波動性と粒子性を、持っている。
 ?一つの電子は複数の場所に同時に存在できる。
(電子の状態の共存性)

 ?電子の波は観測すると瞬間に一点に縮む。(電子の波束の収縮性)
 ?電子の状態は曖昧である。(電子の不確定性原理)

そして量子論は次の3つのパラドックスを持っている。
?ミクロの世界では、ニュートンの法則には従わない。
なぜなら、マクロの世界では物体の運動は連続するが、
ミクロの世界では電子の運動は連続しないから。

?ミクロの世界では、観測者の意識が観測対象に変化を与え、
観測対象そのものを変化させたり,創造したりするが、
マクロの世界では観測者の意識が観測対象に変化を与えることはない

?ミクロの世界は確率の世界で、すべてが確立的に決まる。
つまりマクロの世界の因果律はミクロの世界では
全く通用しない、事になる。

量子論の骨格となる考えはコペンハーゲン解釈であるが、それは、ミクロの世界はすべてが予測不可能で、不確定であること、一個の電子は私達が見ていないときは「波」になっていて、何処にいるか一か所には決まっていないが(状態の共存性原理)、私達が見た瞬間に、電子は粒子になりどこか一カ所で見つかる(波束の収束性原理)。とは言えその電子の見つかる場所は出鱈目で予想がつかない(不確定性原理)、などとなっている。
以上のようなコペンハーゲン解釈は以下のような解釈も可能にする。

つまり、万物や宇宙で起きる出来事は、すべて潜在的に存在していて、人間が観察しない限り決して実在しない。つまり人間が万物の創造者となるのである。私達が意識を変えることで宇宙を変えることになる。私たちの意識は自身の波動関数を収縮させることで変わる。つまり、宇宙は人間の心によってのみ存在する(ジョン・ホイラー)、宇宙は人間の心の化身(結晶化)である(ヒューストン・スミス)、人間こそは、森羅万象を決定する存在である、ということになる。これから量子論的唯我論ともいうべき一元論が導かれるのである。
量子論こそは従来のを越えて、の真に創造的な学問ということができるのである(岸根卓郎)。
量子論では従来の物理学では説明できないような現象が実証され、それをコペンハーゲン解釈で説明し、その説明に「相補性」という概念が用いられている。それは西洋文化の伝統であった物と心、自然と人間などの二原論を揺すことになり、量子力学者の中には東洋思想的な一元論の観念を支持する気運が生まれるようになった。客観的な事実の存在を否定した量子論は、自然と観測者を分けて考える二元論的な世界観を退け、観測対象である自然と観測者である人間を一つのセットで考える一元論的な自然観を示した。量子論を作ったニールス・ボーアは、中国の、相反するものが補い合って世界を形成するという陰陽思想を象徴す太極図を好んだようで、デンマーク政府から勲章を授与された際、太極図を勲章のデザインにしたと言います。

また「相補性」は前にも書きましたが、ユング心理学の意識、無意識や心理機能でも強調される概念でもあり、ユングと量子論をつなげることにもなります。
(続く)