

自他の容姿・外観をどのように認識するかは、心の状態や物事の考え方、解釈の仕方が大きくかかわっています。幸せな心弾むような体験をしたり、ファッションや髪形やメイクが決まったと思える時は,いつもの自分よりも可愛く思えポジティブになれます。逆に気分が不安定で、ストレスで気分が沈んだときは、、生気がなく可愛く思えなくなりネガティブ思考になりがちです。
精神美容形成外科は、心の在り方(考え方、解釈の仕方)と外見の美醜へのこだわりとの関連性や、それがものごとの見方や生き方にどのように影響しているかを探求し、外見の悩みを抱える人たちの心のケアを行い、あるいは美容・形成外科手術に対する心配や不安の心のケアする精神科領域です。美容整形が一般化した今日の時代にそのような専門家が必要であろうと考え、私は30年以上の形成外科医としての経験を踏まえて精神医学を学ぶことで「精神美容形成外科」を立ち上げ、10年が経過しました。
それは、ちょうど、心が免疫機能に及ぼす影響を研究する精神免疫学があり、がん患者の精神神的ケアをする精神腫瘍科があるのと同じように考えてのことでした。
精神美容形成外科では、精神心理学的アプローチで悩みの内(心)的原因を探り、独自の「マインドフルネスレジリエンス強化療法:MBRST」と「レジリエント食事・生活療法:RDLT」によって、生活のリズムを整え、レジリエンス(坑病力、逆境力、精神の免疫力)を強化し、考え方や生き方を変えることを基本として治療を行っていきます。また長年の形成外科医としての経験から、必要に応じて時には、美容形成外科手術の適切なアドバイスを行い、形そのものの問題も解決し、より健康的で前向きな生活を目指します。
特に「身体醜形障害」の疑いのある患者さんには、不安症やうつやパーソナリティ障害、妄想性障害、初期統合失調症等との鑑別診断を行い、患者さんのレジリエンスの強さを見て、美容整形手術依存症に移行しないか慎重に判断して行きます。マインドフルネスレジリエンス強化療法(MBRST法)とレジリエント食事・生活療法(RDLT法)を行うことでレジリエンスが強くなり、身体醜形症状が緩解し、美容形成手術が「本人の立ち直りのきっかけとなり、将来の生活の質の向上に寄与する」と判断できた時には、最も信頼できる適正な美容形成外科医師、施設を紹介することもあります。そのような場合でも術後のメンタルケアは必須と考えており、基本的に紹介先美容形成外科医と連携し、当科の管理下で手術を行うことで、手術の効果を確実なものにしています。
また当科では、普通の女性が美容整形手術を受けるにあたって注意すべきことや、手術法や美容整形外科医の選択に迷ったときには、適切なアドバイスや紹介することも出来ます。美容整形手術をお考えの方は、手術法や執刀医を決めてしまう前の受診をお勧めします。
整心精神科は、一般精神科が対象とするような心の病気の状態には該当しないが、こころと身体のバランスを失いかけた未病の段階で心身を健康状態に戻すことを目的とし、従来の精神医学では、はっきりとした診断病名が付かなかったり、ついても効果的な治療法がないような、「生育上の問題やストレス・逆境から来る悩み」や「生きることや自分の存在自体が肯定できない悩み」、「こころが原因で生きることにつまずいて、生活に支障をきたしている」ような方たちが対象になります。
不登校、引きこもり、摂食症、リストカット、DVなどの問題行動や身体醜形障害、心身症、自律神経失調症、気分変調症、パーソナリティ障害などが対象になります。
ここで言う「美容」とは、外見の美のことではなく、「心身がより健康で、向上性に富んだ超健康的な心身の状態」をいいます。美容精神科は、健康的な範疇の心身の状態を、さらに上の状態にもっていく、つまり、生活に大きく支障をきたしているわけではないが、生きがいに悩んだり、生活にしっくり適応できていない人たちを、常に自己肯定感を失わずに、ポジティブで向上的な充実した幸福感にあふれた生活を目指す精神医学のことを言います。思春期の「様々な失調」や青年期の「モラトリアム、アパシー」、思秋期・向老期の「燃え尽き、喪失感や孤独感の悩み」、老年晩期の「人生の統合性、死への孤独感、恐れ、不安」などの悩みなどが対象になります。