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レジリエンス心理学⑫―スキルⅥ.速攻型:心を静めるテクニック、フォーカシングテクニック

スキルⅥ.速攻型:心を静めるテクニック、フォーカシングテクニック
「思い込みに挑むスキル」と「大局的にとらえる」スキルは殆どの逆境に有効だが、感情が余りに強すぎる時や混沌とした状況の中でつかの間の平穏を取り戻す簡単で有効な手段を必要としているとき、あるいは状況の処理に時間の余裕ががないときには、あまり有効にはならない。状況によってはもっと即効性のあるスキルが必要になる。
ここからはレジリエントではない感情や構想が起こってしまった時にすぐに使える2つの速効型スキルを学ぶ。
スキル6の「心を静めてフォーカシングする」スキルは、コントロール不能になった感情を静める、侵入思考が現れた時に意識を集中させる、抱えているストレスを軽減すると言ったときに役立つ。
スキル7の「リアルタイム・レジリエンス」は非生産的な思考が生じた時に、「思い込みに挑む」スキルと「大局的にとらえる」スキルの基本的要素を使い、それに打ち勝つためのものだ。
「こころを静めてフォーカシングする」スキルで感情を静めて思考を明確にすると、その後、じっくりと内省する余裕が出来、「リアルタイム・レジリエンス」を使って瞬間的に思い込みに挑む事も出来るし、熟考型のスキルを使って逆境や、それについての思い込みを分析できるようになる。

A.速効型スキルを必要とする3つのケース

1)過剰なペースで働き、それを楽しんできた人が、体調が万全とは感じられなくなり、気分は楽観性が失われ不安定になり、生活上のストレスの多さに不満を感じるのだが、その解決策が分からないひと。
2)たいていの人には何ら気に障るほどのことでもない状況に、ひどくイライラし攻撃的になってしまい、そうやって自分をコントロールしたらよいのか分からなく途方に暮れているような人。
3)過度な心配性で、常にネガティブな侵入思考が現れ自信が失われ集中力が保てなくなってしまうひと。
1)はこころが落ち着かない、2)は冷静さを失う、3)はフォーカスを失う場合で、これらはストレスのサインでレジリエンスを弱め、場合によっては病的な状態になってしまう可能性がある。(うつ病、神経症)
感情の嵐に巻き込まれ扁桃体ハイジャック状態、あるいは権利侵害についての氷山思考に反応した状態では、冷静さを失った状況を正しく把握して自分の立ち位置を知り、理性的な思考をとりもどすために感情を静めることが必要である。
また、集中力が切れ、作業中の仕事に集中できなくなったときのティッカーテープ思考が、目の前の課題と関連しない思考で不安を引き起こし、思考の脈絡を失わせ単純なことを複雑にし困惑させている場合は、集中を助ける思考のフォーカス方法が必要になる。

B.ストレス

ストレスは心身の健康の脅威になるので、ストレスに対するレジリエンスを高めることは重要になる。ストレスは生活する上で避けられないものであり、多少のストレスはプラスに働くとされるが、コントロールを失って私たちを圧倒し始めると問題になる。ストレスは自律神経系に働き、免疫力を弱めてあらゆる病気の誘因になることが明らかになっている。
ストレスを起こさせるような物事をストレッサーと呼ぶが、ストレッサ―は外的な物事が多いが、自分のこころの中(内的)の出来事であることも多い。
面白いことに、ストレッサ―はネガティブなものとは限らないことであり、「人生における最大の幸福をもたらす、結婚や出産と言う出来事も最大級のストレスをもたらす。今はストレッサ―とはポジティブであれ、ネガティブであれ「変化すること」とされている。ストレス反応は身体的には視床下部―脳下垂体―副腎皮質系でアドレナリン、コルチゾール分泌による「闘争か逃走」反応で説明されるが、これもストレッサ―の種類、内容では変わらず同じ反応をする。

直ぐにストレスに打ちのめされてしまう人たち
「あなたが感じるストレスの度合いは、ストレッサ―に対するあなたの解釈と反応の仕方に大きく依存している」ことが研究によって明らかにされている。
ストレス耐性の低い人と、ストレスにレジリエントな人を隔てる3つの要素があることを心理学者のコバサは発見した。「コントロール」「コミットメント」「チャレンジ」の3つである。
「自分は自分の管理下にありコントロール出来ると信じているとレジリエンスは高くなる。逆にコントロールする能力に欠けている、あるいは欠けていると思い込んでいると、レジリエンスは低下し、逆境に直面した時に受けるストレスは増大する。単に思い込みの問題であってもレジリエンスは低下し、ストレスに打ちのめされてしまう。
自分のしていることにエンゲージメントとコミットメントのスコアが高い人はレジリエンスも高くなり、変化に対しては、ストレッサ―というよりむしろ成長のチャンスととらえる傾向がある。
コバサの研究では「ストレッサ―に対処する際の思考スタイルが重要である」としており、ストレッサーの成分は変えられない領域もあるが変えられるものもあり、ストレスの量もコントロールできると信じているかどうか、そして状況への対処にどう取り組むかによって減らすことが出来るとしている。

C.ストレスを最小化するためのこころを静めるテクニック

ストレッサ―に直面した時の考え方を変えることで、ストレスを経験しないようにしたり、ストレス量を最小化することは可能だが、現実ではストレスを完全に避けることは出来ない。従ってストレスに襲われた時に自分のこころを静める方法を習得する必要がある。ストレス解消法は、ストレスと反対の状態、すなわちリラックス状態にすることであり、自律神経でいえば交感神経優位のストレス状態から副交感神経優位の状態にすることである。

a)呼吸コントロール法
ストレス状態は交感神経優位であり、呼吸は浅く、早くなっているので、腹   式深呼吸で副交感神経優位に持って行くとリラックス状態に出来る。呼吸を意識しながら腹部が上がるようにゆっくり深く息を吸い、そしてゆっくり息を吐く。
続いて、ここではマインドフルネス呼吸法を行う。
附<マインドフルネス>
すべての脳の疲れやストレスは、過去のすでに終わったことを気に病んだり、これから起きる未来のことを不安に思ったりすることからおきるのであって、今に心がないためである。過去や未来から来るストレスから解放されることがマインドフルネスの目的であるから、今に意識を向けるために、あたかも初めて触れるかのように世界を捉え直し、今ここを保ち続ける子どものような心を取り戻すことが重要とする。マインドフルネスは、心は過去と未来に向きがちだから今に向けるようにこころのストレッチをするようなもの。
マインドフルネスは今に意識を向け、今の自分に気付くこと、今に意識を集中出来ている瞬間にするのが目的である。ストレスの軽減、不安の軽減、幸福感のアップ、前向きな気持ち、精神安定が得られる。(瞑想法に近い)

*マインドフルネス呼吸法―呼吸に意識を集中させ過去・未来・現在の雑念をとりデフォルトモードネットワーク(脳のアイドリング状態)の活動を低下させ脳の疲労回復を図り、「衝動性の制御」「感情のコントロール」「集中力の向上」「ストレスの軽減」「免疫機能の改善」をはかりレジリエンスを高める方法を言う。瞑想の数息法に近い考えで、一つのことに意識を集中させ心を満たすと無我(雑念が消える)になるという瞑想の「無我一念」の理念に近い。マインドフルネス呼吸法は数息法で無我無念を導こうとするものだが、無念に至ることを強くはこだわっていない。数を数えながら(ラべリング)呼吸をすると気が散らず呼吸に集中しやすくなる。

①背筋を軽く伸ばし、背もたれから話す。肩の力を抜きお腹はゆったりさせる。手は太ももの上に置き、足の裏を地面にぺたりとつける。気分は何もしようとしないこと。ただここにあることを自分に許す。

②自分の身体感覚に意識を向ける。足の裏が床に触れている感覚があるか、手が太ももに触れている感覚は?お尻が椅子に触れている感覚は?身体全体が地球に引っ張られている重力を感じるか?

③次に呼吸に注意を向ける。ゆっくり鼻から息を吸いお腹が膨らむのを感じる。1,2,3と数えながら鼻から息を吸い込む。4で止め、次に5,6,7,8まで数えながら鼻からゆっくり息を吐き出す。空気の流れを体感するように意識する。

④呼吸のリズムにこだわらず、呼吸をコントロールしようとしないで、自然に起きるままでよい。とにかく呼吸に注意を集中する。途中で他の考えが浮かんできたら、さりげなく流し、「雑念、雑念、呼吸」と頭の中で言って、また呼吸に注意をもどす。雑念が浮かんでも呼吸を見失わなければよい。

b)ポジティブイメージ法
これは呼吸法と同じで、今この場で、眼を閉じて、「心が静まってリラックス
できる場面、完全に安心できて、心地よく、幸せになれるような場所」をイ
メージして、そのイメージにしたってリラックスする方法である。
イメージは、気分を落ち着かせてくれるシーンをより具体化し鮮明に視覚化することが効果的になる。
ビーチを思い浮かべるならビーチの砂の様子、波の崩れる様、波の音などより詳細鮮明に思い描き、「なんて穏やかなんだろう」とかポジティブな言葉を自分に繰り返す。
これは日頃から、そのような落ち着いてリラックス出来るイメージを視覚化するトレーニングをしておくと、それを思い出せば瞬時にリラックスできるようになる。

もう一つは、イメージトレーニングに近い方法で、近じか予想されるストレッサーを思い浮かべ、自信とスキルでその状況に上手く対処している自分の姿を視覚化するものである。
いくつかのケースについて練習しておく。

C)漸進的筋弛緩法

D.侵入思考

ある課題をこなしている時に、他の思考に邪魔され心が散漫になり課題に集中できなくなることはないだろうか。このような侵入思考は以下の問題でレジリエンスを弱体化させる。

侵入思考の問題1:ネガティブで大惨事になることが多い
侵入思考の問題2:強迫観念(反芻)によって問題の解決が妨げられる
侵入思考の問題3:時間の浪費

E.侵入思考をうち負かすフォーカシング・テクニック

不安や悲しみや怒りを増幅させるだけの非生産的な思考によってファーカスを失わないようにするにはどうすればよいか?
仕事を中断させたり、反芻させたりする思考を食い止める有効な方法をフォーカシング・テクニックと呼ぶ。
心理ゲーム
心理ゲームによってレジリエントでない思考から注意をそらし目の前の課題に取り組めるようになる。ゲームは短時間で出来、楽しいものであり、効果的であるためには少し難しい方が良いが、いらいらするほど難しくあってもいけない。
a)アルファベットゲーム:アルファベット順にイニシャルに会った人名を言って行く。
b)カテゴリーゲーム:一つのカテゴリーを決めそのカテゴリーに含まれるものの名前を2分以内に出来るだけたくさん列挙する。例えば野菜の名前、駅名、ある作家の著書名、芥川賞受賞作家名、ノーエル賞受賞者など。
c)歌詞ゲーム:お気に入りの曲の歌詞を暗唱する。
d)詩:気分が高揚するような詩を暗記しておき、フォーカスしたい時にそれを暗唱する。

F.こころを静めてフォーカシングすることで感情のコントロールを取り戻す

扁桃体ハイジャックのようにコントロール出来ない怒りがごく稀に起きるのならレジリエンスに影響はないが、頻繁に起きるようであればレジリエンスはダメージを受け人間関係で問題が生じる。
感情が余りに強すぎて理性的な思考が困難になる瞬間(扁桃地ハイジャック)は「心を静めるテクニック」(マインドフルネス呼吸法)が有効であり、激情がおさまれば、何故そのような激しい感情になったか、「氷山を見つける」スキルで突き止めることが出来、さらに「思い込みに挑む」スキルでそのような氷山思考が自分にとって正しく持ち続ける価値があるものなのか、むしろ自分を阻害しているものなのか突き止めることが出来る。
場合によっては呼吸法よりフォーカシングテクニックの歌詞の暗証ゲームが有効なこともある。

まとめ
*人が感じるストレス量は、ストレッサ―に対処する際の思考スタイルに大いに影響されるが、ストレス自体は完全に避けられない。
*ストレスに襲われた時に、正確な思考を助けるために、こころを静めるテクニックとして呼吸コントロール法(マインドフルネス),ポジティブイメージ法は有効である。
*「侵入思考」は大惨事が生じやすく、問題解決を遠のかせ、時間を浪費させるため、フォーカシングテクニックで対処する。