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レジリエント心理学⑨―スキルⅢ.氷山を見つける

スキルⅢ.氷山を見つける
自分の感情が強すぎたり、適切な感情ではないと思ったり、時にティッカーテープ思考が、ある状況に対するあなたの反応の強さを説明していない場合、それはあなたの根底にある思考(氷山と呼ぶ)、「世界がどのように動き、その世界の中で自分がどのように動くべきと感じるかについて深く固持された思考」に影響されているというシグナルなのだ。
例えば、「私がやると決めたことはすべて成功するべきだ」「感情的になるのは弱さの印だ」というような、より深いところに潜む動機や価値観は、多く私たちを突き動かし、どのように逆境に反応するかを決定する。そのような氷山思考は意識下深くにあり、それらを探しあてるには特別なスキルがいる。

A.表層思考VS根底思考

ティカーテープ思考は、意識の表層にある、逆境に対する「その瞬間」の思考であり、感情や行動を突き動かすカギを握っている。しかしながら時に自分のティッカーテープ思考が自分の反応を説明してくれない時がある。その場合は根底思考が反応していると考えられる。根底思考は「世の中がどうあるべきか、この世界で自分はどう機能すべきか」についての一般法則であるために多くの異なる逆境に当てはまる。
氷山スキルで自分の根底思考を表面化して評価出来れば、(ティッカーテープ思考より上位にある)本質的にあなたを動かす動機を見つけることが出来る。そしてその根底思考が今、あなたに有効かどうか見直すことも出来る。
氷山思考の多くは、達成、受容、コントロールという3つのカテゴリー、テーマの一の一つに当てはまる。

達成
「成功こそが最も重要なことだ」「失敗は弱さの印である」「私は決してあきらめない」このような思考があれば達成指向の人で「成功は人生の中で最も重要なものである」という根底思考を持っている。
達成指向の人は、「完璧主義にまつわる氷山思考」を併せ持つことが多く、その場合はトンネル視という思考のワナにはまりやすい。
そのような人は「自分の書いた論文の最初の草稿が気に入らなければ、その論文に取り組み続ける事はほとんど不可能になる」のだ。また自分の成績表に「保留」の評価がつくと、がんばって受講し続けるのではなく、諦めてしまう。
彼のティッカーテープ思考は「クラス一優れた論文を書きたい」というものであったが、それは彼の感情や行動を説明しない。つまり氷山思考が働いているのだ。スキルで「完璧でないものはすべて失敗だ」という氷山思考に気づいてから、自分を混乱させていた行為をよく理解できるようになる。

受容
「人生において最も重要なことは人に愛されることだ」「人々を喜ばせ幸福にすることが自分の仕事だ」「人々にいつも自分の最高の状態を思ってもらいたい」これらは人に好かれ、受け入れられ,賞賛されたいという受容欲求の根底思考だ。受容指向の根底思考は対人関係における軽視やいざこざに人一倍気づき、また過剰に反応する傾向にある。また早とちり、マインドリーディングをする傾向がある。
「自分が誰かに好かれないならば、それは自分に何か非常に悪いところがあるということだ」という根底思考は自分が好かれることに意識が向きすぎてしまう。「自分のやることは賞賛に値する」という根底思考は自分の成果を自慢し、自己陶酔に陥り易く対人関係を遠ざけてしまう。

コントロール
「弱い人たちだけが自分の問題を解決できない」「助けを求めるのは、自分自身に責任を持っていない事の現れだ」「自分をコントロールできないのは弱虫だ」のような思考を持っているコントロール指向の人は「できごとに対して責任を持ち、コントロールできることが重要である」という根底思考を持ち、自分が責任を持たない経験や、結果を変更することができないことに対して高度の感受性を持つ傾向がある。その真面目さが彼を助けるより、傷つけることがある。

氷山思考の費用対効果を評価することは重要である。実際にあなたの氷山思考を特定した後で、「この思考に伴う犠牲は何か?この思考はどのように自分に役立っているのか?」を問うてみると、すべての氷山思考がいつも非生産的で有害なものとは限らず、いくつかの領域では極めて有効であり、その他の領域では有害になることがわかる。
コントロールできないと感じた時に自分自身の人としての欠陥と思うのではなく、対象の価値観を変えて氷山思考を書き換えることで悩みは減らすことが出来る。
アンビバレンツな価値観を立て、中庸で妥協を図り氷山思考の書き換えるのも方法の一つである。

B.氷山はどのように形成されるか?

心気症の患者は、ほとんどが病気の家族の下で育てられている。小さいころから、両親が絶えず病気の兆候のチェックをし、新たな治療法に目を光らせていた様子を見て育つと、大人になってから、絶えず自分たちの健康状態をチェックし、実際にはありもしない疼きや痛みを病気の兆候として見つけ出すことに過敏になったのだろう。同じように私たちも子どもの時に自分たちの家族から氷山思考を形成する。つまり自分の親たちの世界観、価値観を学び取るのだ。

C.氷山思考があなたをどのように傷つけることがあるか?

氷山思考では4つの問題が生じる可能性があり、それぞれにあなたのレジリエンスを蝕む力がある。
1)氷山思考は予期しないときに作動することがあり、それが感情と反応の不調和に繋がる。
2)氷山思考が作動すると、状況に不適切な感情と行動が引き起こされることがある。
3)矛盾した氷山思考は、意思決定に困難を来すことがある。
4)氷山思考が非常に硬直したものである場合、同じ感情パターンに何度も繰り返し陥ることがある。

問題1と2:氷山思考は「B―Cつながり」の断絶を引き起こすことがある
自分のティッカーテープ思考を特定した時に、その時の感情、行動があまりに不調和に思えるときは、氷山思考が侵入しB-Cつながりが断絶した時である。
 
問題3:氷山思考の衝突は意思決定を難しくする
アンビバレンツな複数の氷山思考が作動し、しばしばそれが衝突して「意思決定麻痺を起こすことがある。「女性は男性と同じくらい野心を持って成功すべきである」というような達成指向の氷山思考と「わが子が最優先されるべきだ」という受容指向の氷山思考の衝突が起きる場合などが例である。

問題4:氷山思考はある特定の感情を過剰経験として引き起こすことがある
氷山思考は、そんな感情が来たさないような状況においても、同じような特定な感情を何度も繰り返し過剰に経験させ、その他の感情はあまり引き起こさせないことがある。
レジリエントな人は怒り、悲しみ、孤独、幸福感、罪悪感、自尊心、喜び、嫉妬、興奮などすべての感情を適切な時に適度に経験する。レジリエントでない人は、ある一つの感情に縛られる傾向にある。

D.あなたの氷山思考の見つけ方

「氷山思考を見つける」の目標は、次のような現象に気が付くことだ。
1)無意識のうちに過剰反応するか、または自分のティッカーテープ思考が予測するのとは違うように反応する。
2)自分の意思決定力が徐々に蝕われていく。
3)ある特定の感情を過剰に経験させる。
氷山思考があると、ティッカーテ―プ思考は反応に影響を及ぼしていないから、それを評価して反応を変化させレジリエンスを高めることなど出来ないから、まずは氷山思考に気づくことが重要になる。

自分の氷山思考を自分で明確化するために一連の質問に答えてもらい、ABC分析より表面下に堀りさげて行く。「氷山を見つけるスキル」は最も強力なスキルであり、「自分の価値観を明確化し、自分の、または他人の根本的な思考について探求し、自分を混乱させていた自分の行動についての理解」の手助けをする。
現実的には、あなた自身が過激に反応し始め、ことを大袈裟にし出したらすぐにこのエクササイズを実行してみよう。

まずは、ABC分析をする。逆境を事実として書き、ティッカーテープ思考をリストアップして、その瞬間の感情と行動を特定する。そしてB-Cつながりを3つの観点からチェックする。
1)あなたのC(結果)がB(思考)と不調和になっていないか?
2)Cの質がBのカテゴリーと不釣り合いになっていないか?(B-Cつながりでは、ティッカーテープ思考が怒りを示しているのに、自分自身は悲しく感じている、人を傷つける方法が示されているのに。恥ずかしく感じる、など
3)一見したところ単純な意思決定なのに、自分が苦しんでいるかどうか?
以上3つのいずれかの状況が実際にあれば、氷山を見つけるタイミングであるし、無ければ、あなたは「自分がなぜ、今のように感じたり振る舞ったりするか」を既に知っていることになる。
自分のBが調和しているのであれば、それ以上深く探る必要はない。

氷山思考を特定しようとするときは、「なぜ」の質問から離れ、「何」の問いに注意を向けるのが良い。
①それは自分にとって何を意味しているのだろうか?
②自分にとって一番頭にくるのはどの部分だろうか?
③自分にとって最悪なのはどの部分だろうか?
④それは自分に何と言っているのだろうか?
⑤それが何故そんなに悪いのだろうか?
以上のような質問で根底思考に迫って行くが,ⅰ)あなたが「わかった!体験」が訪れたとき、ⅱ)あなたの反応がもはや不調和でなくなったとき、ⅲ)あなたの意思決定が何故そんなに困難かを理解できたときが、質問の切り上げ時である。

■氷山を見つけるワークシート

第1部:逆境とあなたのティッカーテープ思考、その結果を書き出してみよう。

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<例>

逆境:

コースターが自分の目の前にあるのに、ガイはコースターを使わずに自分のコーヒーカップをテーブルの上に置いた。

ティッカーテープ思考:

彼は私がコースターを使ってほしいと思っていることを知っている。コースターが見えているのにそれでも使おうとしない。絶対に間違っているわ。

結果:

私は今までにないほど怒った。1から10までの尺度だったら11くらいの怒りだった。10分ほど怒鳴り散らして、アパートを出て、自分の気持ちを落ち着けるために街を歩き回った。

<ワークシート>

逆境:

 
 
 

ティッカーテープ思考:

 
 
 

結果:

 
 
 

E.他の人の氷山を見つける
氷山思考を見つけることは、共感や社会的なつながりを向上させる有益なスキルになる。二人が自分達の表層思考だけで議論をしていたのなら、例えケンカがおさまったとしても、ケンカの根本原因は残り続け、また一見小さなできごとをキッカケに再浮上するに違いない多くの恋愛関係で嫌な経験をするのは、カップルが自分達衝突の原因である氷山思考を一度も意識しないことに依る。

まとめ
*氷山思考は、この世界がどうあるべきか、この世界で自分がどうあるべきかについての一般法則である。
*多くの氷山思考は「達成」「受容」「コントロール」の3つのカテゴリーのいずれかに属し、誰でもこのうちの一つに当てはまる氷山思考を持つ。
*氷山思考は、子供の時に受け取った親や養育者化rのメッセージを通して形成される。
*氷山思考は、ASBC分析の効力を奪い、意思決定を困難にし、不適切な感情バランスを生み出す。